村長のあしあと
村長からのメッセージ

令和4年度村政執行方針
Ⅰ はじめに
令和4年第1回定例会の開会に当たり、村政執行への所信を述べさせて頂きます。
新型コロナウイルス感染症への対応も3年目に入り、国内外を問わずまだまだ先行きの不透明感があり、村内においても、宿泊を含む観光事業や各種イベントなど、人流を必要とする経済活動は依然として厳しい状況が続いていると認識しております。
しかし、ワクチン接種の効果もみられ、今日まで村内で日常生活を送る上では、極端な混乱が発生していないことが、せめてもの救いだと感じており、村民の皆様をはじめ、各事業者における感染対策の取り組みのたまものだと考えています。
この一年、村としては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめ、各種国費事業などを活用しつつ、住民生活や事業者支援をはじめ各種行政サービスの提供や公共インフラの改修など、コロナ後を見据えつつ村政運営を進めてまいりました。
つきましては、令和4年度の村政運営におきましても、引き続きコロナ感染予防対策に注意を払いながら「第四期総合計画後期基本計画」と「第2期赤井川村創生総合戦略」を基本に据え、財政の安定化も念頭に置き、進めていく所存であります。
加えて、公共を支えるのは役場や村民のみならず、民間企業や村に所縁のある村外の方々との協働が重要であると考えており、人と自然の調和を保ちながら持続可能な開発計画に取り組む企業との連携も大事にしつつ、村内に賦存する様々な資源を活用し、更なる関係人口の増加を目指したいと考えています。
Ⅱ 村政運営に臨む基本姿勢
令和4年度の村政運営の基本姿勢としては、新たに取り組むもの以外、これまで継続的に取り組んできた住民サービス等の施策を大きく変更する考えはありませんが、財政の安定化を念頭に、様々な影響も考慮しつつ見直し等も行いながら引き続き進めたいと考えております。
また、介護・福祉(域内交通含む)、医療、農業、観光など村内において、住民生活に直結する課題が数多くある事を踏まえ、ひとつひとつ丁寧な議論を重ね、次の3つの視点を持って優先順位を見極めながら着実に取り組みたいと考えています。
1 元気と活力を感じる村づくり
1つ目は、「元気と活力を感じる村づくり」です。
働く世代の減少は村の元気と活力を低下させる大きな要因のひとつであり、基幹産業である農業と観光・リゾート産業に元気がなければ、働く世代の定着は見込めず、村全体に活力が感じられなくなってしまいます。
このため、「農業振興計画」を基本に持続可能な農業振興に取り組みます。
また、観光においては観光地域づくり法人を中心とした活動やキロロ、道の駅などの活動を側面的に支援し、食を通じた観光やふるさと納税などで築いた、関係人口(交流人口)の拡大への取り組みを引き続き推進します。
また、カーボンニュートラルを念頭に、地熱利用を柱とした「赤井川村エネルギービジョン」に基づく、再生可能エネルギーを活用する各事業は、民間が進める自然エネルギーの活用事業と連携させることにより、将来働く世代の増加に結びつく可能性を含む事業であり、住んでいる人も訪れる人も活力を感じる村になるよう取り組みます。
2 安心して暮らせる生活環境の確保
2つ目は、「安心して暮らせる生活環境の確保」です。
村民一人ひとりが生涯にわたって心身ともにいきいきと暮らせるようにするには、保健・医療・介護サービスの向上や域内交通の確保、さらには子育て支援などを充実させることが、生きがいとなる日常を手にするためにも必要なことです。
しかし、本村の限られた財源と人的資源を考慮すると、全てを充実させ継続することは難しいことです。
加えて、余市、小樽を生活圏とする多くの村民にとって、幹線交通や域内交通の確保は、安心して暮らすために重要な条件の一つでもあります。
このため、福祉・医療・介護に関する課題については、村と社会福祉協議会や地域包括支援センター等の関係機関が引き続き連携を密にし、分野別に課題と役割分担を明確にしたなかで、地域の方々にも協力をいただき、協働関係を築きながら、課題解決が円滑に進むよう取り組みます。
3 公共インフラなど公共施設の計画的整備
3つ目は「公共インフラなど公共施設の計画的整備」です。
道路・河川・橋梁をはじめ、上下水道や公営住宅などの公共施設は、これまでも村民生活の基盤であることから計画的な整備を心がけ、老朽化した施設も財源を考慮しつつ、各種長寿命化計画などを策定し、維持補修を行ってきました。
特に多くの経費を要する大規模工事については、国費・道費補助や財政措置率が高い有利な起債を活用するなど、財源確保を模索しながら優先順位を考慮し取り組んできました。
このため、本年度も継続性や緊急性のあるものや、防災対策など優先度の高い施設の整備や補修を重点的に進めます。
Ⅲ 政策展開の重点事項
1 コロナ後を見据えた地域活力の醸成
①農業の振興
基幹産業である農業振興は、これまでも村の重点施策として様々な取り組みを進めてきました。なかでも土づくり、ビニールハウス栽培の振興、優良農地の確保対策などは継続的に取り組んできたところです。近年は有害鳥獣の対策もその比重は大きくなっております。ただ農業を取り巻く課題は多く、今後も課題を整理しながら着実に解決に向けた取り組みが必要とされているところです。
このため、昨年度策定した「農業振興計画」に沿って、次の事項について重点的に取り組みます。
・道営農業農村整備事業による農地基盤整備事業
・落合ダム・関連設備の適切運用と農業用水の安定供給
・優良農地確保対策と農地流動化対策の強化
・新規就農希望者就農支援の推進
・農業振興補助事業の評価と新しい施策の検討
・農業振興センター(育苗施設)の在り方と運営の検討
・有害鳥獣駆除対策の効果的実施と人材育成
②林業の振興
村有林を主体に、民有林においても多面的機能を持つ森林資源の保全と活用を計画的に進めており、引き続き赤井川村森林整備計画に沿った事業を進めます。
特に村有林の伐期齢に達した立木の活用については、カーボンニュートラルも視野に伐採・育成計画を作成したうえで進めます。
・森林環境譲与税の「活用基本方針」に基づく支援
・冷水峠展望所の計画的整備
・村有林造林事業計画の策定
③商工業の振興
村内で事業展開する事業者は、小規模ながら新規事業に挑戦し、業績を伸ばしている先例も有り、村の産業の一翼を担っています。
これらの事業者は、商工会へ結集し経営の安定化を目指していることから、引き続き商工会のリーダーシップを期待し支援を行います。
・商工会運営の安定化を図るための支援
・経営改善や新規開拓事業取り組みへの支援
④観光の振興
村の観光は、キロロを核としたリゾート観光と道の駅や温泉を核としたドライブ観光に分けられますが、いずれも新鮮で美味しい農畜産物を活用した「食」がキーワードになります。
また、有志により農業体験や農泊のプランニングを実施に繋げる動きもあると聞いております。
このため、観光地域づくり法人赤井川村国際リゾート推進協会を中心とした観光振興が促進されるよう、引き続き支援します。
また、ふるさと納税のPR活動も含め、食と観光が有機的に結びつくよう取り組みを進めます。
・赤井川村国際リゾート推進協会(DMO)の活動支援
・ウィズコロナ・アフターコロナの観光振興支援
・道の駅「あかいがわ」地場産品の販売促進支援
・観光振興財源(宿泊税)の確保に向けた検討・協議
⑤再生可能エネルギー関連事業への展開
「赤井川村エネルギービジョン」に基づき、地熱や水力など持続可能な再生可能エネルギーを活用した事業の促進を目指します。
特に温泉熱利用については国費を活用し、新たな温泉源の掘削事業に着手するなど、エネルギービジョンの具現化とともに、ゼロカーボンの推進に取り組みます。
また、民間主体で進められる事業については、国の法令遵守を基本とし、村の「再生可能エネルギー発電施設の設置等に関するガイドライン」に沿った事業者対応を徹底し、開発と保全のバランスをより一層心がけながら、その対応に当たります。
・温泉熱エネルギーを活用した公共施設の整備
・民間地熱発電・水力発電計画への側面的支援
・ゼロカーボン推進戦略の策定
2 村民と協働する行政の展開
全ての村民が心身ともに健康でいきいきと生活できるよう、保健・医療・高齢者福祉・介護、子育て支援などの事業を各計画に基づき実施します。
特にデイサービスセンターは、4月から指定管理者が運営を担うことから、健全な運営と利用者の満足度アップを目指し、村との連携を含め運営に万全を期します。
消防・防災については、北後志消防組合赤井川支署との連携を強化しており、引き続き緊急時の迅速な対応に努めます。
また、令和3年度末に企業版ふるさと納税制度を活用して寄贈される救命救急対応救急車については、装備や訓練など、準備が整った段階で、現有の職員体制により対応可能な範囲で救急救命運用を開始します。
余市赤井川幹線公共交通については4月からの運行が始まることから、今後は域内交通確保についての取り組みを加速させます。
なお、次の重点事項については村民の皆様との積極的な協働を必要とする施策もあることから、各事業については引き続き丁寧な説明を第一に進めます。
①保健・医療
・各種健診、健康教育・健康相談等の充実
・自主的な健康づくり・体力づくり活動の支援
・各種健康教育活動による健康管理意識の醸成
・新型コロナウイルス感染症対策の推進
・地域医療体制の充実に向けた総合的な検討促進
②子育て支援
・へき地保育所の保育内容の充実
・妊婦・新生児訪問、個別相談等母子保健事業の推進
・保育所と学校の連携による継続した支援体制の強化
・新生児聴覚検査支援
・産後ケア事業の取り組み
③高齢者支援(生きがい対策・介護)
・悠楽学園大学の内容充実
・介護三事業の円滑な運営及び適正管理
・一般介護予防の充実(高齢者サロン、運動教室)
・総合相談支援の充実
・認知症施策の推進
・在宅医療・介護連携の推進
④障がい者支援
・北後志自立支援協議会等を活用した相談支援体制充実
・各種障がい福祉サービスの提供体制充実
⑤地域福祉
・社会福祉協議会活動の支援
・生活支援体制の強化
・民生委員、児童委員や各種相談員の活動支援
・生活支援体制整備事業の強化
・たすけあい隊活動の推進
⑥社会保障
・マイナンバーカード村民保有率の更なる向上
・国民健康保険、後期高齢者医療保険事業事務の円滑化
⑦消防・救急
・災害時連携対応の強化
・救急救命体制の段階的運用
・日常的な福祉・介護分野との連携
⑧移住定住対策
・ふるさと納税と連携した施策のPR活動
⑨防災対策
・整備された防災設備の適正管理と運用訓練の実施
・学校教育活動と連携した防災教育活動の実施
⑩地域公共交通対策
・地域公共バス(むらバス)の運行開始と利用促進策の展開
・域内交通整備の実施
3 公共インフラなど公共施設の計画的整備
①村道整備
村道整備については、幹線道路及び生活道路を中心に国土強靱化計画に基づく防災的視点も持ちながら整備を進めます。
また、路面の損傷などが激しい路線については、優先順位を定め、日常の通行に支障が出ないよう補修に努めます。
・富田線道路改良工事
・村道舗装補修工事
②河川整備
河川整備については、異常気象による防災対応が重要となることから、河道内に堆積した土砂や立木の撤去を計画的に行います。
・緊急自然災害防止対策事業債を活用した河川整備工事
・緊急浚渫推進整備事業を活用した河川護岸工事
③橋梁整備
老朽化した橋梁については、「橋梁長寿命化計画」に基づき整備します。
・富田線富田橋橋梁補修工事
④簡易水道の整備
安全な飲料水を供給するため、適正な管理を継続すると共に、老朽化した施設については計画的に更新を行います。
また、緊急時の防災対策にも取り組みます。さらに、水道事業の効率化、経営改善を図るため、令和6年4月1日開始となる公営企業会計化に向けた準備を進めます。
・量水器取替工事
・都地区簡易水道施設(取水口)の更新
・簡易水道事業地方公営企業法適用に向けた準備
⑤下水道の整備
施設整備後20年以上経過していることから、老朽化した機器類について「ストックマネジメント実施方針」を策定し、更新を進めています。また、下水道計画区域外における合併浄化槽の普及啓発も継続して行っており、設置者への支援も引き続き行います。
さらに、水道事業同様、事業の効率化、経営改善を図るため、令和6年4月1日開始となる公営企業会計化に向けた準備を進めます。
・公共下水道ストックマネジメント実施方針に基づく施設改修
・公共下水道事業地方公営企業法適用に向けた準備
⑥公営住宅などの整備
老朽化した公営住宅については、「公営住宅長寿命化計画」に基づき建て替えやリフォームを進め、活用が出来なくなった村営・村有住宅は取り壊しを引き続き進めます。
・村営中央団地個別改善改修工事
・村有住宅(赤井川地区)解体工事
⑦その他公共施設の整備
各施設の管理は、「公共施設等総合管理計画」に基づき延命化を図りながら村民の利用に支障が出ないよう計画的な維持補修に努めます。
⑧生活廃棄物及びし尿の処理
可燃ごみ及び資源ゴミについては、「北しりべし廃棄物処理広域連合」の処理施設、不燃物については、村の一般廃棄物処理場で適正に処理をしておりますが、今後もゴミの減量化と分別の徹底は必要であると考えています。北後志衛生施設組合のし尿処理施設については老朽化対策として新たな施設整備の設計が終了し、本年度から本体施設整備に向けて計画を進めることが合意されています。
4 財政安定化への取り組み
実質単年度収支で歳入と歳出のバランスが取れていない状況を改善し、財政を安定化方向へ向けるには、新型コロナウイルス感染症収束後の情勢を見据えつつ、昨年も申し上げましたが、国費・道費の助成制度の活用はもとより自主財源の確保や民間企業との連携を積極的に展開しなければならないと考えています。
このため、5年後の令和8年度を目標に設定した「財政健全化アクションプラン」を新年度中に明確にし、健全化に向けた取り組みを推進したいと考えております。
また、デイサービスセンターの指定管理制度への移行を機に、内部組織機構と特別会計を見直し、業務の効率化を進める所存であります。
以上の考え方を基本に置き、令和4年度の各会計の予算を次のとおり提案させて頂きます。
■一般会計 2,633,000千円
■後期高齢者医療特別会計 17,565千円
■国民健康保険特別会計 42,859千円
■簡易水道事業特別会計 105,572千円
■下水道事業特別会計 75,117千円
◆総 計 2,874,113千円
Ⅳ むすび
以上、令和4年度の村政執行方針について述べさせていただきました。
私たちを取り巻く世界は、新型コロナウイルス感染症の出現により明らかに変わりました。
経済や人の動きは元より、価値観や人間の生き方そのものも変わってきていると感じます。
この新しい時代や環境に対応し、村を元気にして次の世代に引き継ぐのは、今を生きる我々の責任であり、また使命であると強く感じております。
私自身、村長の任期最終年度であることから、「持続可能な村となるための基礎づくり」最終年度と位置づけ、村政運営に臨む所存でありますので、引き続き村議会議員の皆様と村民の皆様の深い御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
令和4年3月11日
赤井川村長 馬場 希
村長のあしあと
2022年