教育行政執行方針
Ⅰ はじめに
令和7年第1回定例会の開会に当たりまして、赤井川村教育委員会の所管行政の執行に関する主要な方針について申し上げます。
混迷の度を増すグローバル情勢、環境破壊、深刻さを増す少子化・高齢化や、生成AIなどのデジタル技術の発展など、先行きに対する不確実性がこれまでになく高まるとともに、人々の価値観や生活様式が大きく変化しています。
このような中、未来に向けた「持続可能な社会の創り手」として、その必要な資質能力の育成が求められるとともに、地域や社会全体で幸せや豊かさを享受できるよう、「ウェルビーイングの向上」を図る必要性が高まっています。
また、このような時代においては、学ぶ意義を見いだし、主体的に学びに向かうことができる子供の育成が必要であり、生涯学習の理念に基づき、一人一人が学び続け、豊かな人生を送ることができるよう、学習できる環境を整えることが大切であると考えております。
本年度も引き続き、村議会議員並びに村理事者のみなさまの深い御理解と村民各位の温かい御支援の下、教育の諸活動が円滑に推進できるよう取り組んでまいります。
Ⅱ 教育行政に臨む基本姿勢
こうした認識の下、教育行政推進の基本姿勢を申し上げます。
先ずは学校教育についてです。
一つ目は、「赤井川に誇りを持つ子供の育成」です。
地域のアイデンティティの確立や社会結束力の基礎は郷土愛にあります。地方創生、地域社会の発展のカギもそこにあると言われています。
マイナスからプラスに視点を変換でき、郷土に誇りを持つことのできる子供の育成が必要であると考えています。
二つ目は、「自立した子供の育成」です。
VUCAの時代(Volatility:変動性、Uncertainty不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)と言われる変化が激しく将来の予測が困難な今、物事をあきらめる、途中でやめる児童生徒が増加し、大人では離職率の増加も顕著です。そのような中、自分でできる、やり通すことができる力の育成が必要であり、そのための確かな学力、やり抜く心、支える体力の育成が重要であると考えています。
次に社会教育についてです。
社会教育では、「第12期赤井川村中期社会教育行政計画」に基づき、点検・評価を行いながら関係機関・団体・学校・地域の機能を生かした事業実施に努めるとともに、社会教育施設の運営について計画的な維持管理に努め、村民にとって日常的に使いやすい施設となるよう努めます。
また、学校・家庭・地域の連携・協働による地域の教育力の向上を図ってまいります。
これらの実施にあたっては、効果的な推進を目指し、重点項目を絞った施策を実行します。
Ⅲ 重点施策の展開
次に、令和7年度の重点施策について申し上げます。
1 地域とともにある学校づくりの充実
第1は、「地域とともにある学校づくりの充実」であります。
教育環境・内容の充実と、赤井川村が好き・赤井川を誇りに思う子供の育成をねらい、「学校運営協議会」を核に、学校、家庭及び地域が相互に協力し、地域全体で学びを展開していく「地域とともにある学校づくりの充実」を図ります。
「社会に開かれた教育課程」の理念の下、子供たちに必要な資質・能力を社会と目標を共有して育成するとともに、「カリキュラム・マネジメント」を通して、教育課程の改善・充実を図ってまいります。
また、小学校適正配置や小中一貫教育に向けた地域の人材、素材の整理を行い、「見方・考え方」を高める教育課程の構築を図ります。
2 新たな時代に対応した教育の推進
第2は、「新たな時代に対応した教育の推進」であります。
一人一人の子供がこれからの社会を生き抜く力を身に付けていくための「個別最適な学び」や「協働的な学び」を実現するために、ICT教育の充実やグローバル化に対応した教育の充実が大切です。
ICT教育では、デジタルドリルの活用、デジタル教科書実証事業の継続など、児童生徒の情報活用能力の育成と学習の効率化を図るとともに、包括連携協定を締結したIT関連企業の人材派遣を得て、プログラミング教育の充実を図ってまいります。また、学校ホームページの刷新や動画サイト等のSNSを活用した発信により、教育情報の即時性を高めるとともに多様化を図ってまいります。
ICT環境の整備については、国の第2期GIGAスクール構想による児童生徒の端末の更新と学校職員の校務用端末の更新を図るとともに、これまでに導入してきた校務支援システムや図書管理システムなどを有効活用しながら、公文書のデジタル管理化や業務の効率化を進めるなど、教育DXの推進を図ってまいります。
グローバル化に対応した教育では、「赤井川村国際交流推進計画」に基づき、保育所での英語活動や小学校1年生からの外国語活動、小中の乗り入れ授業、中学校での英検の全員受験と無償化の取組等を通して、引続き外国語教育の充実を図ります。また北海道教育大学札幌校留学生との交流プログラムや中学生のストラスモア訪問・受入れプログラムについては、学校の教育活動や年間プログラムとの関連を見直しながら、教育内容の充実を図ります。
3 小中が連携・一貫して生きる力を育む教育活動の推進
第3は、「小中が連携・一貫して生きる力を育む教育活動の推進」であります。
児童生徒が社会人として生涯学び続ける持続可能な社会の作り手になることを願い、心身ともに自立した主体的な学習者の育成を目指します。
義務教育終了時のあるべき姿を
『人間愛にあふれ、郷土に誇りを抱き、自己の夢や希望に向かって歩む15歳』
と定め、その姿を実現するために、新たに設置する「赤井川村小中一貫教育推進委員会」や「赤井川村小中一貫教育連絡協議会」と連携して、課題に応じた活動を推進します。
また、各校ごとに以下の取組を進めます。
【確かな学力】を育む教育の推進に向けては、
子供たちが これからの社会や世界に向き合って関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等の涵養」、生きて働く「知識・技能の習得」、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等の育成」が求められています。これらの力を育成するために、
・持続可能な社会の構築を基本理念とする学習指導要領に基づく社会に開かれた教育課程の編成・実施とカリキュラム・マネジメントによる改善
・全国学力学習状況調査や標準学力検査の結果やチャレンジテスト等を活用した学習指導の充実
・教育先進地視察と効果的な実践を取り入れた授業改善
を重点に取り組みます。
また、小学校での専科教員の配置や授業研究により、指導方法の改善と系統的教科指導の充実を図ります。
【豊かな心】を育てる教育の推進については、
基本的な倫理観や規範意識、生命の大切さや思いやりの心、美しいものに感動する心や自己肯定感を醸成させるために、
・考え、議論する「道徳授業」の職員研修と実践
・児童生徒の思いやり、信頼関係を基本とした生徒指導の充実
・ウェルビーイング調べの実施と分析、改善
・図書管理システムの有効活用と読書活動への支援
などを重点に取り組みます。
【健やかな体】をつくるための教育の推進については、
体力は、意欲や気力にも大きく関わり、食べる事と同様に、子供たちが生涯にわたり心身ともに健やかに生きて行くための基礎となるものであり、
・全国体力・運動能力、運動習慣等調査や各種テストの実施と体力テストデジタル集計システムの導入による実態把握・分析に基づいた体育活動の充実、改善
・歯磨き指導、フッ化洗口や食育の充実など健康教育の推進
・部活動の地域移行に向けた地域体育団体や近隣町村との連携の推進
などを重点に取り組みます。
4 教育環境の充実と保護者支援の充実
第4は、「教育環境の充実と保護者支援の充実」であります。
教育環境の整備については、小学校においては統合に向けた外構、外装・内装等施設の大規模改修、中学校においては校舎のユニバーサルデザイン化に向けた改修を進めてまいります。また、その他の社会教育施設についても、改善計画の策定、実施を進めてまいります。
次に保護者支援についてであります。
これまでも、教育に係る保護者負担の軽減に努めているところですが、児童生徒が安心して充実した学校生活を送れるよう、
・学習教材への支援
・学校給食費無料化への支援
・部活動における全道、全国規模大会出場への支援
・漢字検定や英語検定などの資格取得者への支援
などを重点に、本年度も継続して取り組みます。
5 心と身体の健康を目指す生涯学習の推進
第5は、「心と身体の健康を目指す生涯学習の推進」であります。
生涯学習の中核となる社会教育については、「第12期赤井川村中期社会教育行政計画」後期計画を基本に、より多くの村民が生きがいを持って活動できるように、
・本と親しむ活動の支援や読書環境の充実
・各種団体と連携したレクリエーションスポーツの推進
・スポーツ施設の計画的整備
・郷土芸能 伝承活動の支援
・郷土資料の活用をはじめ郷土を知る活動の推進
・学校教育活動と連携した国際交流事業の推進
・赤井川村文化祭の充実
・放課後子ども教室の実施と子ども第三の居場所の施設準備
などを重点に取り組みます。
Ⅳ むすび
以上、令和7年度の本村教育行政の主な施策について申し上げました。
本村が将来にわたって持続的に発展していくためには、地域を支える人材の育成を担う教育の役割は大変重要であります。学校教育の充実と豊かな生涯学習社会の実現に向け、村議会議員の皆様並びに村民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和 7年 3月 赤井川村教育委員会
学校教育係 kyouiku3@akaigawa.com 0135-34-6211